SRAM?ほとんど見かけないんだけど、なにがいいの?
まあ、順当に言ったら当然シマノを使うことになる。
わざわざSRAMを選択するのって、それなりに理由がある。
一番大切なのは、そこにオモシロさがあるかどうか。
SRAMの変速方法は、かなり個性的。
1本のレバーでシフトアップとシフトダウンを行う。
- 短いストロークでシフトアップ
- 長いストロークでシフトダウン
つまり、シフトダウンするとき、シフトアップ時のレバー位置を通過することになる
もしもインナー×ローなのに、もう一つ大きいギアがあると思い込んでシフトダウンしたら
痛恨のシフトアップ?
レバーとリアメカの動きを考えると、ついこんなふうに想像してしまう。
だから、レース中の極限状態でもローに入っていることを、しっかりと覚えて…
なんつって、そんなの無理。
なんとシフトチェンジをキャンセルする機構が付いている。
SRAM機械式シフターは、実にオモシロイ
シマノとはそもそも発想がちがう
インナー×ローの次をキャンセルする方法
シマノしか知らないと、驚くのがこのセット方法。
ロー側の可動範囲を広げる
ディレーラーを、ロー側のスプロケよりもさらに、スポーク側に可動範囲を広げる
その状態で、シフトダウンする。
ディレーラーは少しだけスポーク側に動く。
その後、再びローの位置にもどり、シフトチェンジはキャンセルされる。
左:スプロケとプーリーの位置は一直線上
右:ローの状態からさらにシフトダウンを行った時のプーリーの位置
この後再びローの位置に戻る
この方法を思いついたSRAMのエンジニアってすごい。
ダブルタップ内部を見ると、カムの動きに感動する。
★このセット方法を知らない場合
- シマノと同じくロー側スプロケットの延長線上にディレーラーの可動範囲をセット
- ディレーラーはローよりもスポーク側に動くことができない
- キャンセルする動作ができない
- シフトダウンしたつもりがシフトアップ。
「SRAM使えねーなー」なんて勘違いされる可能性がありそうな、驚きのセット方法。
操作のコツ
シマノに慣れていると操作ミスを起こしてしまう。
シフトチェンジがキャンセルされるとき、若干ながらレバータッチが重くなる。
これに気が付いて、途中でシフトダウンの動作をやめると、シフトアップしてしまう。
シフトチェンジの動作をやりきること
うすうすローに入っていることに気が付きつつも、
「一応シフトダウンできるか確認してみようかな…」
みたいな気持ちだと、レバータッチが重いことを感じて中途半端なシフトダウン動作になる。
これがSRAMでのシフトミスの原因。
一度始めたシフトチェンジ動作をやめないことが、使いこなすコツ。
自然な手の動作
いつもの激坂。今日はすこぶる調子が悪い
でも、行くと決めたコース。
絶対に登りきる。
苦しい…。
足が重い…。
まだギアは残っているはず。よし!シフトダウンだ!
しかし、すでにギアはインナー×ロー。
それでも、気づかずシフトチェンジしたとき、
シマノの場合
「グニャ」
(レバーを動かしたときの感覚)
スラムの場合
「パチッ!」
(レバーを動かした時の音)
シマノはローに入っていたら、基本的にその先はレバーが動かなくなる。
でも、
- リアメカの可動範囲にどれだけ余裕を持たせているか
- ワイヤーの伸び量
によって、レバーが完全に固定されるわけではなく「グニャ」と動く。
ここまで完成度が高いのに「なぜ?」って感じ。
対してスラム。
なんと変速レバーは普通通り動く。
シフトダウンの動作をしても、シフトチェンジはしない。
「パチッ!」っと鳴るのは、シフトダウンの動作音。
つまり、手で変速動作はしてるのに、変速しないということ。
シフトチェンジはキャンセルされる
機械装置で例えたら、
スラム:ボタンを押しても安全装置が働いて、機械は動かない
シマノ:ボタンが押せなくなって(ちょっとだけ押せる)機械は動かない
スラムは機械操作的な発想でモノづくりをしている。
シマノはそれ以上動かせないんだから「そうなるよね」的な発想。
そもそも、モノづくりの感覚がちがう。
とは言っても、シマノで困ることは一つもない。
でも、デュアルコントロールレバーは、各社の個性がめちゃくちゃ出てるパーツ。
しかも、乗っている最中はずっと触ってる。
だから、シマノとそれ以外の違いを、ダイレクトに感じられる。
どこそこのフレームは硬いとか進むとか、フィーリングの話じゃない。
各社、見た目から、変速方法から、明らかに違う。
一度きりのサイクリスト人生。
できることなら、他を体験したい。
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シンプルな手の動き
非常に少ないストロークでシフトアップが可能
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