
フレームの再塗装は、修復するためとは限らない。
マスプロメーカーは、大抵が黒っぽいフレーム。
悪くはないけど、面白みはない。
そこで、再塗装(リペイント)することで新たな価値が生まれる。
まるで新しいバイクに乗っているかのような気分になる。
気分もよくなって、速くなったような気がする。
実際、そんなもんかもしれない。
プロのように研ぎ澄まされた肉体だったら、フレームの違いでどうのこうのはあるかもしれない。
しかしホビーライダーが、自分の走りに一番影響するのは「体調とメンタル」。
この二つのうち、メンタルに大きく影響をおよぼせるのが再塗装。
今回も再塗装を依頼したのは「アトリエ キノピオ」。
実は再塗装するのは2本目。
1本目で再塗装の魅力にとりつかれてしまった。
30年来のシクロクロッサーなので、下位カテゴリーに落ちても2台体制は当たり前だと思い込んでいる。
だから、1本目が出来上がったと同時に、心の中で2本目も再塗装することを決めていた。

再塗装するフレームはフォークもクロモリでフルカスタムした「MADMAN」。
カラーもカスタムだけど、凝ったデザインにすると値段が跳ね上がるので、当時はワンカラーに近い形でオーダー。
これが、大変身を遂げることになる。
イメージは簡潔に

色だけ伝える

「この色を使いたい」
これだけを伝えた。
この色を選んだのは、チームウエアがシンプルなブラック。
そこにマゼンタ、イエロー、シアンのバイクに乗ることで際立つのではないかという公算。
どこにどう配色するかは頼まない。
なぜか。
素人には、何の色がこの面積だとほかの色に対して、どういう影響をおよぼすのか知らない。
しっかりバランスを見てくれないと、変なものが出来上がってきてしまう。
逆を言うと、素人が口を出すところではない領域。
好き嫌いがはっきり分かれる色使い。
大量生産されるカーボンバイクでは、絶対にないカラバリ。
大量生産品は、多くの人が受け入れられる色であることが条件。
そうでないとビジネスが成り立たない。
結果、だいたいみんなクロの単色。
生活必需品を選んでるわけじゃないから、ほんとはもっと楽しめるはず。
擬態語で伝える

グラフィックで頼んだことは、

「ごちゃごちゃした感じで」
これだけ。
擬態語を使って抽象的に伝える。
こうすることで、デザインの自由度を上げる。
もちろん、こまかな指示を出すこともできる。
でも、逆に楽しみを減らしてしまう。
デザイナーが知識を持ってデザインしたものは深みがある。
数パターンのデザイン案をもらった時の感動は何とも言えない。
自分の頭の中では、想像できなかったアイディアが出てくる。
だから、イメージは抽象的に伝えるのがいい。
関連記事>>>【自転車カスタムペイント】リペイントしたら愛着100倍になった【再塗装】
色合いは任せる

色を操る技術がすごい
最初に色の希望を伝えたときに「おもちゃ感」が出てしまうとご指摘をいただく。
だからといって、別の色にしたほうがいいと言われたわけではない。
この色を実現しながら、おもちゃ感→チープ感(だと思う)をグラフィックとコントラストで調整していた。
目玉にも細胞にも見えるシリアスなグラフィック。
ピンクとイエローのコントラストを出すために、最初は赤?と思ったぐらいのマゼンタだった。
そこから、絶妙なコントラストを調節するためにパールホワイトを吹いてピンクに仕上げていた。
アイディアがすごい

こんな発想無かった。
ここにブラック胴抜きを入れるなんて。
最初は普通に「MADMAN」のロゴをダウンチューブにペイントしてもらうイメージだった。
そのラフスケッチも頂いていた。
しかし、ステッカー感があってデザイン的になじんでいなかった。
なんというか、ロゴと目玉細胞が別物すぎてデザインが分断されているようだった。
そこで、ペインター安田さんからのアイディアがこれ。
「胴抜きブラックにして、ロゴの背面に目玉細胞が出てたほうがよさそう」
テキストだとちょっとだけわかりにくかったので、スケッチをいただいて納得。
ロゴ背面に目玉があることで、ロゴだけよりもブラックの面積は増えている。
でも、ロゴもブラックもなじんでる。
映画のタイトルのようなグラフィック。
組付けるパーツも、黒が多い。
ウエアも黒い。
完全にトータルコーディネートできた。
パーツの進化を追うことはやめた

視点をかえる
いまカスタムというと、完成車を買ってそこからパーツ交換することを指すような気がする。
がしかし、昔々はフレームもパーツもバラバラに買うことは普通だった。
だから、パーツ交換がカスタムと言われてもピンとこない。
昨今のパーツは下位クラスでも十分に動く。
でもパーツの進化は止まらない。
アルプスを100km/hで下るブレーキと、週末サイクリングロードを走るブレーキが一緒である必要はない。
いっそのこと、パーツの進化を追うことをやめてしまったらどうか。
自転車人生の景色が変わってくる。
車なら、旧車好きの認知度は高いけど、自転車となると様子は違う。
猫も杓子もカーボンフレームにディスクブレーキで電動シフト。
自転車の旧車好き(好んでリムブレーキ選んだりする人)なんてほぼ見かけない。
最先端を追うの人のほうが、圧倒的に多い。
でも、ほんとにそれいる?
そこで、パーツが進化していく世界から一旦降りてみる。
お友達のタイヤが太くなっても気にしない。
別に23Cでいいじゃん。
次に買う自転車は絶対ディスクブレーキ。
じゃなくてもいいはず。
もう「ヒモ」にはもどれない。
いや、熟成した機械式シフターのどこが不満なの?
何かをグレードアップすることだけがカスタムではない。
カスタムの定義をオリジナリティを出すこととするならば「リペイント」にほかならない。
ついに筆が登場
ペインター安田さんからのご提案。
手間暇がかかった正真正銘のオリジナルデザイン。
まつ毛の形が一つ一つ違う。
ディズニーランドに何回も足を運んでしまうような、楽しさがそこにある。
関連記事>>>【クロモリ】おっさんは一生ものを買うべき【シクロクロスバイク】
まとめ
イメージは簡潔に
細かい指示をしないほうが楽しめる
色合いは任せる
色は奥深い。素人がすべてをやるのは危険。
パーツの進化を追うことはやめた
どれだけパーツが進化しても、どうでもいい。

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