![](https://english-bike.com/wp-content/uploads/imgs/4245a710-s.jpg)
![](https://english-bike.com/wp-content/uploads/imgs/10e29301.jpg)
どうしても、自転車の本場の空気を感じたかった
インターネットで情報収集できなかった1995年。
日本に居ながらホームステイ先を探すのは非常に困難だった。
なんとしても、自転車レースがメジャーな国へ行ってみたかった
ホームステイ先から、地図を開いてレース会場を探し出す。
歩いている人へ会場の場所を聞きまくる。
毎回、やっとの思いでスタートラインついていた10か月間。
その当時でも海外へ行くこと自体は、珍しくもなんともなかった。
でも、いまでもこのネタを人に言うと、びっくりしてくれる。
テレビやらネットを見ると、だれでも気軽に行ってるのかと思いきや、実はそうでもない。
お金と時間を工面できるなら、自転車の本場は見たほうがいい。
強くなりたい選手だけが行くものでもない。
日本とはすべてが違う自転車を取り巻く環境。
自分の人生において、これ以上刺激的で、価値のある10か月はなかった。
何もかもが違った自転車文化
![IMG_3058](/wp-content/uploads/imgs/4d416207-s.jpg)
平日にこんなに人が集まるのは失業率20%だから(当時)
うわさは本当だった
![](https://english-bike.com/wp-content/uploads/imgs/10e29301.jpg)
自分が認められた気がした
当時はネットで情報が得られなかった時代。
今よりも100倍ぐらいマイナーだった自転車レースの情報なんて皆無。
毎月のサイクルスポーツ誌を、穴が開くほどみても海外情報はあまりなかった。
それでも、NHKで放映していたツール・ド・フランスを見て観客の多さから、きっとメジャースポーツなんだろうとは想像ができた。
しかし、日本でドロップハンドルの自転車とピチピチウエアを着ていると、気持ち悪がられた時代。
人気スポーツとして認識されている国があるなんて信じられなかった。
「自分がやっていることが、世界的にはメジャースポーツでカッコよくて華やかなんだ」
20歳のころ、このことを確認したかった。
そのためだけにベルギーに渡った。
プロになりたいわけでもなく、強くなりたいわけでもなかった。
さらに実際に本場のレースを走ってみて、気が付いてしまったことがあった。
日本のロードレースがロードレースではなかったこと。
ベルギーだとジュニアのレースにもならないような距離でのレースイベントが大半。
(当時は、実業団選手が出るのに40㎞なんて距離のレースもあった)
- レースが全部家から遠い
- エントリー料金がめっちゃ高い
- 誰も見ない場所で開催
日本で走るなら、この実情を受け入れなくてはいけない。
帰国後にロードレースに、興味がなくなってしまった原因にもなった。
観客がいるレース
どんなに小さなレースでも観客がいる。
選手の家族とかじゃなく、純粋な「観客」。
いまでこそ、日本でも首都圏で行われるトップクラスのレースなら観客はいる。
でも、郊外でやる市民レースには観客なんていない。
ところが、ベルギーはちがった。
レースに出まくっていた、珍しい日本人のわたしは、シーズン後半には有名人になっていた。
スタート前に観客と写真を撮られる数回。
子供たちからも大人気。
子供から、アイスクリームをご馳走になったこともあった。
その街の人は自転車レースを楽しみにしている。
心底、違う文化に触れた感じがしていた。
ピチピチウエアでカフェ休憩
その当時の日本で、サイクリングウエアのまま店に入るのは、かなりの勇気が必要だった。
ベルギーなら普通のカフェに、ピチピチウエアのまま堂々と休憩できる。
夢のようだった。
珍しそうな顔をせず、接客してくれる。
ピチピチのサイクリングウエアが日常に溶け込んでいる。
自分のやっていることは、みんなが理解できるスポーツだった。
ただ、カフェに入っただけなのに、感動でたまらなかった。
関連記事>>>【ロードバイクモチベーション向上】忍び寄る魔の季節は「秋」
ベルギーの自転車レースへ参戦
![](https://english-bike.com/wp-content/uploads/imgs/4d75a1d8-s.jpg)
なぜベルギーだったのか
自転車雑誌でベルギー滞在日記を連載していた、上坂選手の記事を見たのがきっかけ。
出版社に手紙を送り、上坂選手につないでもらっった。
(いまだったら、そんなめんどくさいこと誰もしない)
さらに、ベルギーは国際ライセンスさえあれば走ることができた
たとえばフランスは、地元クラブチームに入らなければレースに出られない。
クラブに入るコネクションが必要。
もちろんそんなコネクションなんかなかった。
だからベルギーには、アメリカやオーストラリアの英語圏から参戦している選手が大勢いた。
初飛行機、初海外、初レース
![IMG_3060](/wp-content/uploads/imgs/0839c25f-s.jpg)
それまで、飛行機に1度も乗ったことがなかった。
なのに、いきなり一人で12時間フライト。
色々なことを知らなすぎて、なんの不安もなかった。
ブリュッセル空港では、ステイ先のご主人フランツさんがお迎え。
ベルギーに到着のその週から、レースに参加。
なんとクリテリウム以外、全レース当日受付。
受付でライセンスを提示して530円を支払う。
使いまわしのナンバーを、レース終了後に返却すると500円が返却される。
30円は保険代。
信じられない安さ。
レースは平日も開催。
ケルメスという「お祭り」のイベントの一つがロードレースになっている。
遊園地にある遊具が移動式になっていて、街に運ばれてくる。
町のこどもたちは、それを楽しみに待っている感じ。
その当時、子供が遊べるショッピングモールやボーリング場なんかは皆無。
だから、小さな移動遊園地が街のビッグイベントになっていた。
日本は日本式
日本のように、誰も見ていない超山奥の自転車専用のサーキットでレースするのとは全く違う。
あれを自転車レースと思ってはいけない。
本場からすれば、日本のレースはかなり特殊。
出場するレースのコースはすべて違うし、すべて公道。
いまでこそ、ヨーロッパのトッププロのレース情報は簡単に手に入る。
しかし、市民レベルのローカルレースの情報までは伝わってこない。
情熱があって環境が許せば、1レースだけでも出てみる世界が変わる。
文化として根付いてることを、身にしみて感じることができる。
関連記事>>>【ポタリングとサイクリング】実は動機付けがむずかしい
意外と少数派
![](https://english-bike.com/wp-content/uploads/imgs/da06936f-s.jpg)
迷う必要はない
あれから30年近くたったのに、まだ珍しがられる海外自転車レース奮闘記。
意外に、10か月も外国に滞在した人も身の回りには非常に少ない。
自転車仲間でも海外のレースを走った人にほとんど会ったことがない。
もし、海外レース体験を迷っている若者がいたら、迷わず行った方がいい
そりゃ、レースのペースは速いし、とてもフィニッシュまで走れない。
日本と違って路面はボッコボコ。
(振動吸収性がいいフレームってこういうところを走るとわかる。日本のような鏡のような舗装で、振動がどうのってどうでもいい話…)
ロードサイクリストにとって恐ろしい「縦の溝」だってバンバンある。
でも、これこそがロードレース。
チャンスに気付けない
![IMG_3054](/wp-content/uploads/imgs/4f221508-s.jpg)
あの時だったら、行けたのに。
チャンスは逃してから気が付くもの。
”海外でレースすることは、プロ選手になる人だけがやること”
そんな風潮がある。
でも、そんなことは関係ない。
もしかしたら、趣味でやっているだけだから、本場を見てみる発想すら浮かばないかもしれない。
本場を空気を味わうだけでも、十二分な価値がある。
長期で行く必要もない。
その後の自転車人生に大きく影響を与えてくれる。
語学の大切さ
あのとき、語学に長けていたら楽しさがより深かったはず。
現地のサイクリストと一緒に走ったりして、ほんの少しだけ通じるフラマン語がどれだけ楽しかったか。
第二言語で意思疎通できると、恐ろしく世界が広がることを知った
ホームステイ先では、ベルギー人のお父さんとなら会話が成り立った。
外国人と話している自分に酔いしれる。
それまでの人生には、全く無かっったこの感覚。
新たな趣味は語学になった。
関連記事>>>ロードバイクブーム以前の暗黒時代とはどんなものだったのか
まとめ
何もかもが違った自転車文化
自分のやっていることに自信を持てた。
ベルギーの自転車レースへ参戦
日本の自転車レースとはあまりにも違った。
意外と少数派
海外へ行くのは珍しくなくても、海外で自転車レースをするのはまだ珍しい
コメント
Tシャツカッコいい!
「80」ってやつですか?ありがとうございます!
全記事読ませていただきました。先日ヤフオクでgios puredropを安く入手して、ロード平地でも50km/h超とすごく速く進むので、シクロってどうなんだろうと思った時、こちらにたどり着き、シクロオールマイティー説を拝見し同感した次第です。ありがとうございました。
コメントありがとうございます!
50km以上だせるのは、Shonan no Ossanさんの実力があるからだと思います!